皆さまこんにちは、Kです。
今日は、普段弊社の翻訳チームが行っているゲーム翻訳について
ご紹介したいと思います。
ご存知の方も多いと思いますが、日本語と韓国語はとてもよく似ていると
言われます。
例えば、
このように日本語と韓国語は語順が一緒ですし、
表記はハングルでされているものの元は漢字語なので、
日本語と似た熟語も多いです。
例えば、「高速道路」などは「고속도로」発音も「コーソッドロ」みたい
(に聞こえる)のでとてもよく似ています。
ハングルさえ読めるようになればあとは覚えるだけですので
それほど難しくはありません。
(英語とかフランス語に比べればってレベルですが汗)
しかし!
言語が違うので、もちろん違う部分もとても多いです。
特に日本語ネイティブとして困るのは、韓国語には男言葉、女言葉の差が
あまりないことです。
会話文なんかを読んでも、その人が男なのか女なのか全然分かりません。
これはKの韓国語の実力不足ではなく…
韓国語ネイティブのスタッフが読んでも
分からないのです!(強調)
さて、前置きが長くなりましたが、ゲーム翻訳の依頼が来る時は、
まずテキストデータだけがドーン!と来て、ゲームは開発中のため
見ることができない、という場合が多々あります。
「さあ、◯月✕日までにお願いしますね!ちなみにリリース日決まってるんで
オシリは動かせないからヨ・ロ・シ・ク♡」
「…は、はい~!」
という感じで始まります。
つまり、ゲームの絵柄とかキャラクターの顔とか、ゲーム性とかが
分からないままに始めなければならないのです。
(まあ、さすがに企画やコンセプトは教えてくれますが…)
それでも、下記のようなシステムメッセージならまだ何とかなります。
<テキスト原文>
등록된 친구가 없어요. 친구를 찾으러 갈까요 ?
<テキスト翻訳文>
登録してるフレンドがいません。フレンドを探しに行きますか?
メッセージの内容に「ひえー、悲しいよ~」とはなりますが、
作業に支障はありません。
しかし、いわゆる「クエスト」というもので、ゲーム内のキャラクターが
何らかのセリフを話している場合はそうもいきません。
<テキスト原文>
네놈의 과거는 실패의 기록들이다. 그 와중에 드물게 있었던 성공인걸 눈치 채고
다른 잘못을 덮어보려 하는건가?
<テキスト翻訳文>
お前の過去は失敗の記録だ。その中でまれにあった成功なのに気づいて
他の誤りに蓋をしようとするのか?
えっと…この人、何言ってるんでしょう?
………それにこの人、男なんだろうか?女なんだろうか?
男だとして、ガッチリ系?優しい系?爽やか系?フレンドリー系?やんちゃ系?…
そう、日本語には、男言葉と女言葉の他にも、そのキャラクターにピッタリくる
「口調」というのがありますよね。
挨拶ひとつを取っても、例えば体育会系の男子だったら
「押忍、ヨロシクお願いしまっす!!」
というのが雰囲気に合ってますし、王子様系の優男だったら
「やあ!これからよろしくねっ!」
だったり…。これを「役割語」というそうなんですが、
日本語にはこの「役割語」が多いわけです。
なのでこういう時は、ゲームの開発社に男なのか女なのか?
そしてどんなキャラクターなのか問い合わせることになります。
…が実際、そういう資料がないことも多いのです。
規模の大きいゲームになると何十人、何百人というキャラクターが登場します。
韓国語では「役割語」が日本語ほど重要ではないので、キャラクターによる
口調の違いをわざわざ記録しておく必要性がないのですね。
ではどうやって翻訳するかというと…。
とりあえず、無難な感じの男口調にする!
ゲームのキャラクターは男性が多いですからね。
それに男性キャラクターが女言葉を話すより、
女性キャラクターが男言葉を話したほうがまだ傷口が小さくて済みます。
ですので一時的な措置として、荒っぽすぎず、ナヨナヨしすぎてもいない、
あまり個性のない男性口調で翻訳を進めます。
さらに、韓国語には敬語がありますので、そこは忠実に敬語とタメ口を
訳し分けていきます。
そうやって翻訳を終え、ゲームに入れてみると…
※画像はイメージです。
うーん…やっぱり何言ってるのかよく分かりませんね。
しかもキャラクターの人となりも伝わってこないし、RPGに不可欠な
感情移入が全然できません。
問題がなければここで終わる場合もあります。というか通常、
翻訳者の役割はここまでだと言ってもいいでしょう。
しかし!
弊社が翻訳を担当するほとんどのゲームでは、ここからゲームの
プロデューサーやディレクター、開発者を交えて「キャラ付け」を行っていき
ストーリーやキャラクターに合った口調に変えていきます。
その頃にはゲームもだいたい仕上がっているので、
ゲーム内のキャラクターを見ながら作業を行うこともできます。
実は、最初の翻訳よりもここが腕の見せ所で、
いかに日本のユーザーにキャラクターの魅力を伝えることができるか?
プレイヤーに分かりやすいゲームナビゲートができるか?
はこの作業にかかっています。
自画自賛になりますが…弊社の翻訳チームはここが長けているということで
評価いただいております。翻訳チームが常駐している弊社ならではの
強みとも言えるでしょう。
ということで、完成するとこうなります。
<セリフ翻訳文>
貴様の記憶は、失敗の塊だな。…偶然の成功を振りかざし、自らの過ちには
背を向ける。それが貴様という存在だ。
なんだかすごくカッコイイ感じになりましたね。
もう、ベルスカード様にひれ伏すしかない感じです。
とまあ、このような感じで日々ゲーム翻訳に汗を流しております。
キャラクターを活かすも殺すも翻訳次第!を胸に、これからも魅力的なゲームを
皆さまにお届けするお手伝いができればと思っています。
ちなみに、4月に行われるドラゴンネストRのアップデートでは
久々にベルスカード様が登場するとかしないとか!?
乞うご期待です!
ではでは、またお会いしましょう~!
ハンゲームの大人気RPG
「ドラゴンネストR」はこちらからお楽しみいただけます。
翻訳のご用命はこちらにて!
NHN Fukuoka Studio